【金銭管理と成年後見制度】
ある女性のお話です。
Yさん(68歳)さんは,5年前にご主人と死別。
以後市内の自宅で一人暮らしをしておられました。
ご主人が遺された株,預金が数千万円あり,遺族年金もあって生活に不自由はありません。
お嬢さん二人がいらっしゃり,長女は近くに住んでいるので時々Bさんの様子を見に来ておられました。
あるとき長女がYさん宅に来てみると,反物が何反も積み上げられていました。
聞くと,訪問販売員が親切にしてくれ 意気投合したところ,泊まりがけの着物展示会に無料招待され,勧められるままに購入したとの事。
値段はどれも1反100万円以上の値札が付いているが,とてもそれだけの価値がありそうにはありません。
購入後1週間以上経っているのでクーリングオフもできず,困った長女は「消費生活センター」に相談し,センターの斡旋で,ようやく業者に反物を引き取らせることができました。
そのようなことがあってから、長女は,心配になってYさんの預金通帳などを預かることにされました。
ところが,これを知った二女が「お姉さんがお母さんの財産を独り占めにしようとしている」と言い出し,姉妹の仲があやしくなってきたのです。
長女は,不愉快になって預金通帳をBさんに返却し,しばらく実家にも行かないようにされていました。
ところが,1年ほどして民生委員の方から,「近所の人がBさん宅にあやしい人が出入りしているので心配している。」と,電話があったそうです。
久しぶりに実家に行ってみると,きれい好きでいつも掃除を欠かさなかったBさんに似合わず室内は散乱していて,Bさんの様子がどうもおかしかったそう。
預金通帳を確認すると,4回に分けて,300万円近くの出金がありました。
何に使ったのかを問いただすと,よく覚えていないという。
高価な反物を何反も買い込んできた頃からBさんに痴呆が現れていたのでしょう。
最初にBさんの変調に気付いたときに,姉妹間でよく話し合い,援助の方法などを取り決めることができていればと,惜しまれます。
援助の方法としては,長女あるいは二女が通帳を預かるなどの事実上の援助でもよかったのですが,さらに一歩進んで,成年後見制度の利用も考えられるでしょう。
反物を買い込むなどの変調があった時点で,是非とも「補助」を利用することを考えてもいいでしょう。
「重要な動産の売買」について同意権の付与を受ければ,Bさんが無用な反物を買い込んでも取り消すことが可能なのです。

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