【資産の処分と成年後見制度】
Zさん(40歳)は精神障害で通院をされていました。
両親と死に別れ ご兄弟もいらっしゃいません。
いとこがいらっしゃいましたが,遠方に住んでおり,何年も行き来がありませんでした。
ご両親が残した一戸建てに住み,障害年金とご両親の残した蓄えとでの生活でした。
1年ほど前から体調が思わしくないが,それは近所の人が悪いんだという発想をもっておられました。
次第にその思いは強くなり,今の状態から逃れるためには,この家を売って引っ越すほかないと思い詰められたそうです。
そこへ,不動産業者が,「この家をぜひ譲ってほしい。引越し先も世話をするから。」と,言ってきた。
Zさんはすぐにこれに応じ 業者の提示した2800万円で自宅の土地,建物を売られました。
ところが,引っ越した先でも体調は改善しない為、Zさんは,再び引っ越しをしようと別の不動産業者を尋ねられたそうです。
これまでの経緯を説明したところ,その業者は売った一戸建ての家は5000円は下らないという。
ショックを受けたDさんは,周りのみんなが自分の財産を狙っていると感じるようになられ,鍵を何重に閉めても不安で眠れなくなったそうです。
これは被害妄想のため家を売り急ぎ,不利な条件で売却してしまったケースです。
自宅を売却する時点で,誰かに適切な助言を受けることができていれば,このような不利益な結果になることもなかったと思われます。
Zさんの状態をみると,精神障害も比較的軽度ですので「補助」相当と思われます。
自宅売却の時点で,「補助」を申し立て,補助人が代理権の付与を受けて補助人に売却を委ねるか,補助人に不動産売却の同意権を付与し,補助人の同意のもとに売却すれば,このような不利な売却は防ぐことができたかもしれません。
さらには,そもそも売却の必要性があるのか,補助人とよく協議をすることが出来たとも思えます。
Zさんの被害妄想の症状は一層進んでいるようですので,Zさんに安心感を与えることが大切でしょう。
成年後見制度だけで全てが解決できる訳ではありませんが,現時点においても,補助人に預金通帳などを保管してもらうことで不安を除去できる可能性があるのならば,「補助」の利用を考えるべきかもしれません。

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